Go言語でJavaFXを動かしてみた

June 8, 2014

この記事はQiitaの記事をエクスポートしたものです。内容が古くなっている可能性があります。

GopherJSを使って、Go言語のコードをJSに変換し、Nashornを使うことで、JavaFXを動かしてみた。 同様の内容を天下一altjs武闘会で話した。

GopherJS

GopherJSは、Go言語のコードからJSのコードを生成するツールである。 go/astパッケージが使われている。 go get でインストールする。

$ go get github.com/gopherjs/gopherjs

GopherJSは、Node.jsかブラウザで動くJSを履く前提で作られている。 Hello, worldを作ってみる。

package main

func main() {
    println("hello, GopherJS")
}

ビルドしてみる。

$ go build -o /dev/null && gopherjs build hello.go

go buildしてるのは、GopherJSのビルドのエラーログが分かりにくいため、とりあえずGo言語としてコンパイルして、その段階でコンパイルエラーになるものを発見しやすくするためである。

ビルドするとhello.jshello.js.mapが生成される。hello.jsには自分で書いたコードと、ランタイムが付加される。上記のコードで、48KBほどである。hello.js.mapはsource mapファイルで、これを使えばデバッグがしやすくなる。

Node.jsで実行すると、hello, GopherJSと出力される。

$ node hello.js
hello, GopherJS

Nashorn

JavaのJavaScriptエンジンである。私はあまり詳しくないが、JavaからJSのオブジェクトを使えたり、JSからJavaのオブジェクトを使うことができる。jjsコマンドを使うと、JSファイルをNashornで実行できる。 なお、デフォルトではjjsにはパスが通ってないため、パスを通しておく必要がある。 また、-fxオプションをつければ、JavaFXも使うことができる。

Nashornで、GopherJSで生成したJSファイルを実行しようとすると、グローバルオブジェクトが設定されずに落ちる。そのため、GopherJSに手をいれて、トップレベルのthisをグローバルオブジェクトが入る変数go$globalに入るようにしてやる必要がある。

また、consoleもないので、console.logとかはprintとかに置き換える必要があるが、今回は面倒なのでやってない。そのため、上記のコードは今回は動かせない。

GopherJSでJSのオブジェクトを使う

js.ObjectインタフェースがJSのオブジェクトに対応している。 GetSetCallIndexLengthなどを使って、プロパティに値を設定したり、メソッドを呼んだりする。使い方は、reflectパッケージのValue型によく似ている。

例えば、以下のように使うことができる。

package main

import (
    "github.com/gopherjs/gopherjs/js"
)

func main() {
    Object := js.Global.Get("Object")
    obj := Object.New()
    obj.Set("name", "hoge")
    println(obj.Get("name"))

    JSON := js.Global.Get("JSON")
    println(JSON.Call("stringify", obj))
}
go build -o /dev/null sample1.go && gopherjs build sample1.go && node sample1.js
hoge
{"name":"hoge"}

GopherJSとJavaFX

それでは、JavaFXのWebViewを表示するサンプルを作ってみよう。

package main

import (
    "github.com/gopherjs/gopherjs/js"
)

var java = js.Global.Get("Java")

func main() {
    js.Global.Set("start", start)
}

func start(stage js.Object) {
    stage.Set("title", "Hello, GopherJS")
    WebView := java.Call("type", "javafx.scene.web.WebView")
    webview := WebView.New()
    webview.Call("getEngine").Call("load", "http://gopherjs.github.io/playground")
    Scene := java.Call("type", "javafx.scene.Scene")
    scene := Scene.New(webview, 600, 600)
    stage.Call("setScene", scene)
    stage.Call("show")
}

javaという変数は、Javaのクラスを使うためのオブジェクトである。グローバル変数なので、js.Globalのプロパティから取得している。 JavaFXのプログラムはmain関数ではなく、start関数から始まる。そのため、start関数をトップレベルに作る必要があるため、js.Globalのプロパティとして、start関数を設定している。GopherJSから吐出されるJSは必ずmainパッケージのmain関数が実行されるようなコードになっている。

start関数の中は、WebViewクラスのインスタンスを作って、Sceneに貼り付ける簡単な実装が書かれている。

実行してみる。

$ go build -o /dev/null sample2.go && gopherjs build sample2.go && jjs -fx sample2.js

sample2.png

いい感じにでている。ちなみに、表示しているのは、GopherJS PlaygroundGo Playground的なことができる上に、吐き出すJSを見ることができる。

GopherJSとJavaFX 3D

せっかくなので、3Dのプログラムも書いてみる。今回は以下のGopherの3Dオブジェクトを表示させていみる。

  • https://github.com/golang-samples/gopher-3d

    package main
    
    import (
    "github.com/gopherjs/gopherjs/js"
    )
    
    var java = js.Global.Get("Java")
    
    var (
    Group             = java.Call("type", "javafx.scene.Group")
    Scene             = java.Call("type", "javafx.scene.Scene")
    ObjModelImporter  = java.Call("type", "com.interactivemesh.jfx.importer.obj.ObjModelImporter")
    DrawMode          = java.Call("type", "javafx.scene.shape.DrawMode")
    PerspectiveCamera = java.Call("type", "javafx.scene.PerspectiveCamera")
    Point3D           = java.Call("type", "javafx.geometry.Point3D")
    )
    
    func start(stage js.Object) {
    root := Group.New()
    
    objImporter := ObjModelImporter.New()
    objImporter.Call("read", "gopher.obj")
    objMesh := objImporter.Call("getImport")
    objImporter.Call("close")
    
    for i := 0; i < objMesh.Length(); i++ {
        root.Call("getChildren").Call("addAll", objMesh.Index(i))
        objMesh.Index(i).Call("drawModeProperty").Call("set", DrawMode.Get("FILL"))
    }
    root.Call("setRotationAxis", Point3D.New(0.0, 1.0, 0.0))
    root.Call("setRotate", 210.0)
    
    scene := Scene.New(root, 600, 600)
    
    camera := PerspectiveCamera.New(true)
    scene.Call("setCamera", camera)
    camera.Call("setTranslateZ", -10.0)
    
    stage.Call("setScene", scene)
    stage.Set("title", "Hello, Gopher3D")
    stage.Call("show")
    }
    
    func main() {
    js.Global.Set("start", start)
    }

ObjModelImporterというクラスを使うには、以下のサイトからjarファイルを落としてくる必要がある。objファイル以外のImporterクラスもある模様。

実行してみる。なお、-cpオプションで落としてきたjarファイルにクラスパスを通している。

$ go build -o /dev/null gopher3d.go && gopherjs build gopher3d.go && jjs -fx gopher3d.js -cp jimObjModelImporterJFX.jar

gopher3d.png

いろいろ試したけど、こっち向いてくれない。

感想

誰得感があって非常に良かった。 気が乗ったら、GopherJSに手を入れたところをPR投げようと思う。 JavaFXのGo言語のバインディングを書こうと思ったけど、ジェネリクスがつらそうだなと思った。